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絵本サロンを開きたい方へ

自宅を開放するなどして立ち上げた小さな私設のこども図書館を一般的には家庭文庫、子ども文庫と呼びます。石井桃子さんのかつら文庫を源流に、地域に根ざしたすばらしい活動が日本全国に広がっています。その一方で文庫という名称が若い世代には通じづらくなってきているのも事実であり、また主宰する側の意識も公立の図書館や図書室が普及するにつれ、良質な本を子どもたちに届けたいという思いはそのままに、地域の人々の集う場づくりへとシフトチェンジしている傾向も見受けられます。
そこで敢えてこちらのページでは「文庫」の名称は使用せず、絵本を中心に人が集まり、おしゃべりを楽しんだり交流を深めることの出来る場を「絵本サロン」と呼称させて頂きます。

はじめに

わたしたち高齢者と子育て世代を絵本で繋ぐ会の絵本サロン活動は
子育てを終えたひとりの主婦が自身の所有する1000冊の絵本を
地域の子ども達にも読んで貰えたら、というささやかな願いから始まりました。
その願いは小さな小さな種になり、地域の方々に暖かな光をあてて頂くことで

小さなおやこ絵本館ぴよぴよという、にぎやかな実をならせるまでになりました。
いまこうしているときも、心の中に小さな小さな種を持つあなたに、
最初の一歩を踏み出して頂けるよう、
ささやかではありますが「絵本サロンの開き方」をご案内致します。
地域の繋がりが薄くなったといわれて久しい昨今、
人と人とが絵本を通して繋がりあえる小さなサロンが
ところどころに実をならせる様は、どんなに美しく豊かなことかと、
その実現を心から願わずにはいられません。
あなたの夢が幼い子どもたちの為に実を結ぶよう応援しています。

名前をつけましょう
まずは場所を決めましょう

自宅を開放する

光熱水費や消耗品以外あまりお金も掛からず、一番シンプルでポピュラーな方法です。
玄関先を小さく利用されている方、リビングやお子さんが巣立った後のお部屋を利用されている方とその形は様々です。開設の宣伝は玄関先に小さな目印を創り口コミから始めれば充分ですが、なるべく多くの人に知って頂きたいのであれば、ちらしを作ってのポスティング、近隣の園や子育てセンターへの配布、ネットでの告知などが挙げられます。その場合、路上駐車は禁止するなどくれぐれもご近所へのご配慮をお忘れなく。

公民館など公の貸し施設を利用する

自宅に不特定多数の人物を招き入れるのには抵抗がある、という方は読み聞かせや子育て支援サークルを立ち上げ、その団体名で公的な施設を利用するのも一案です。公の場での活動は地域の広報誌に情報を掲載して貰える利点もあります。

その他

学校図書館、個人経営のカフェ、マンションや病院、駅構内のパブリックスペースなど、地縁を利用し様々な場所で絵本サロンが運営されています。ご自身の周りにある〝可能性〟にアンテナを張り、開設のための企画を持ち込むのも一案です。ただ、断られる可能性も非常に高いため駄目で元々の気持ちと相手に対する礼儀をお忘れなく。

文庫とするかサロンとするか、はたまた全く別の名前にするかで、あなたがどんな活動を行いたいと思っているのかある程度外へ伝えることが出来ます。最近では飲み物の提供などは無くても人が集まる機会を総じて〝カフェ〟と呼ぶこともあります。
地域のカラー、ご自身のお好みで楽しみながら自由に名前をつけてみましょう。わたしたち
小さなおやこ絵本館ぴよぴよを例に取ると、敢えて〝おやこ〟と入館者を限定することで、「そぐわない方が入ってきてしまったけれど、出て行って欲しいとも言いづらいし」というようなトラブルを未然に防いでいます。

繋がりましょう
本をそろえましょう

絵本サロンと一般的な図書館業務とで大きく一線を画す部分は、やはり人との繋がりが濃くなることです。「本が好き」という思いから始めた活動でも、結局は「人が好き」でなくては続きません。その点からいえば、絵本サロンの運営というのは本を通して人と繋がることに喜びとやり甲斐を感じる方に最も向いた活動といえるでしょう。また、沢山の人が出入りする場の運営となります。社会福祉協議会などに相談した上でボランティア保険への加入もご検討されてはいかがでしょうか。

貸出を行うかどうかが鍵となります。
貸出を行わず、現場での閲覧、読み聞かせに限るのであれば、ぜひ図書館の本を利用しましょう。多くの公立図書館には団体向けに大量に本を貸し出してくれるシステムが存在します。季節の本やあなたならではのテーマに合わせた本を選りすぐり、コーディネートを楽しみましょう。貸出を行いたい場合、図書館の本の又貸しは禁止されているところがほとんどのため、ご自身の私物を利用することとなりますが、ある程度、紛失、破損に対する覚悟は必要となるかも知れません。新品を購入する必要は無く、古本屋さんをどんどん利用しましょう。人が集まるようになると自然に寄贈本の数も増えてくるものです。

参考文献・参考サイト

さまざまな情報を参考に、あなたが最もやりたいと思う形をイメージしてみましょう

● 新編 子どもの図書館〈石井桃子コレクションIII〉 (岩波現代文庫)

よみっこ文庫サロン

市川市内の小学校に開設された地域文庫です。

かつら文庫
1958年に石井桃子さんがはじめたちいさな図書室です。
現在は、東京子ども図書館が、その活動を引き継ぎ、毎週土曜日に開室しています。

このあの文庫

小宮由さん(児童文学翻訳家)主宰の家庭文庫です。

ロールパン文庫

小松原宏子さん(作家)主宰の家庭文庫です。

日本の文庫:運営の現状と運営者の意識

汐崎順子著 慶應義塾大学(非常勤)2013年発表三田図書館情報学会誌

最後に

絵本サロンを継続させるための最も有効な方法は楽しいと思う気持ちです。
まずはゆったりと余裕を持って行える範囲で始めてみましょう。
お友達数人で絵本を持ち寄っておしゃべりしただけ、でも立派なスタートです。
理想や既製の型に絡め取られることなく、楽しい気持ちを何より大切に、
あなたの信じる道を進んで下さい。

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